葬儀の基礎知識

二男 次男 どちらが正しい?

2番目に生まれた男の子を指す言葉として、「二男」や「次男」という漢字が使われていますが、この書き分け方について疑問に思ったことはないでしょうか。

日常生活の中で困ることはありませんが、例えば、入学願書や各種書類、履歴書、婚姻届、出生届などに記入して提出しなければならない場面では、どちらが正しいのか迷う方もいると思います。

そこで今回の記事では、「二男」と「次男」の意味の違いや正しい書き表し方などを解説します。

「二男」と「次男」の違いについて

なんとなく知っているようで、詳しく説明できない「二男」と「次男」の違い。まずは「二男」と「次男」の違いについて、過去の用例も挙げてそれぞれ解説していきます。

「二男」と「次男」の意味は同じ

『日本国語大辞典』で「じなん」をひくと,「二男」と「次男」の2つの書き表し方が載っており、意味はどちらも「むすこのうち,二番目に生まれた子。次子。次郎。」という説明書きがされています。

過去の書物からの用例を見てみると、鎌倉時代に書かれた書物『吾妻鏡(あずまかがみ)』や『平家物語』の中では「次男」が使用され、室町時代に書かれた書物『太平記』では「二男」が使われていました。つまり、「二男」・「次男」は古くから使われていた漢字であることがわかります。

常用漢字の「二」の音に「ジ」はない

実は、常用漢字としての「二」の読みは「ニ」だけで、「ジ」はありません。もともと「二」の音は、漢音で「ジ」、呉音で「ニ」だったため、「二男」は「じなん」と読んでも間違いではなく、そのため「二男」は古くから「じなん」と読まれていたのです。

「二」を「ジ」と読むものには、書簡文の末尾につける「不二」や人名の「二郎」などがありますが、いずれも特殊な言葉や固有名詞だったため、常用漢字の音として「二」=「ジ」は取り上げられなかったと考えられます。

公的な場面では「二男」が使われている

一般的な国語辞典での「二男」・「次男」の取り扱いはさまざまですが、いずれの辞書でも「次男」が正しい書き表し方として示されており、日常会話やテレビなどの報道でも「次男」という言葉が使われています。

一方で、公的な場面では「二男」が用いられていますが、必ずしも「法律上二男を使わなければならない」という明確な規定があるわけではありません。

『戸籍法施行規則(こせきほうしこうきそく)』の付録にある戸籍のひな型には「長男・長女・二男・二女」と例示されています。一般的には、履歴書が使われるのは入学時や就職時であり、そうした場合には戸籍抄本や戸籍謄本の添付が求められることが多く、「二男」が使われています。

「二男」と「次男」の戸籍上の表記の違い

次に、「二男」と「次男」の戸籍上の表記について解説します。

二番目に生まれた男の子=じなんに対して、戸籍上の「じなん」は「二男」が使われており、「次男」は使われていません。これは前述した『戸籍法施行規則』にある戸籍のひな形で「長男・長女・二男・二女」と記されているからです。

したがって公的な書類に関しては、戸籍の記載に合わせて「二男」と書くことになっています。また、以下の14個の届け出も戸籍にまつわるものであるため、すべて「二男」を使用します。

  1. 出生届
  2. 婚姻届
  3. 離婚届
  4. 認知届
  5. 復氏届
  6. 帰化届
  7. 特別養子縁組届
  8. 就籍届
  9. 分籍届
  10. 入籍届
  11. 国籍取得届
  12. 養子離縁届
  13. 養子縁組届
  14. 特別養子離縁届


これらの書類では「次男」と記載すると訂正を求められ、「二男」と書かなければ認められません。一般的には「次男」を使用してもほとんど問題ありませんが、上記の14の届出書には使用できないため、基本的には「二男」と書いておけば間違いありません。

これは男性だけではなく女性に関しても同様で、「次女」は戸籍関連では使用できません。そのため、女性も男性と同じく「二」の字を使用して「二女」と書きます。

結婚式の招待状はどちらでもよいが「二男」がベター

では、結婚式では「二男」・「次男」どちらの表記が正しいのでしょうか。

結婚式の日取りを知らせる招待状は、戸籍に関する公的な書類ではないため、「二男」・「次男」どちらを使用しても誤りではありません。ただし、一部地域の慣習では「結婚式に『次』があると離婚を連想させる」と考えられているケースもあるため、不安がある場合は「二男」を使用する方が無難でしょう。