葬儀の基礎知識
室蘭における彼岸とは
彼岸の意味を説明し、時期や室蘭における彼岸のお参りの仕方などについて記します。
目次
彼岸とは何を意味するのでしょうか?
彼岸。彼の岸と書いて「ひがん」と読みます。対義語は「此岸(しがん)」。私たちの住む俗世です。仏教における悟りを得るまでの心の迷いや葛藤、煩悩を川に例えて、向こう岸に涅槃(ねはん)がある、と考えられました。涅槃とは、誕生→生→死の繰り返しから開放された幸せな心のありよう。生死を超えた悟りの世界です。彼岸とは涅槃であり、悟りの世界を指します。
仏教の浄土思想において、阿弥陀如来がいらっしゃる「極楽浄土」は西方にあって「西方浄土」とも言われます。春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈み、浄土へと還っていくイメージ。昼と夜が同じ長さになり「あの世への扉」が開かれるとされていました。日本で初めて仏教行事として「彼岸会(ひがんえ)」が行われたのは延暦25年(西暦806年)と、「日本後紀」という書物への記載があります。1200年以上の間、日本の年中行事として「お彼岸」と呼ばれ、人々に親しまれてきました。
彼岸の時期はいつですか?
彼岸には、春の彼岸(7日間)と秋の彼岸(7日間)があります。一年で14日間です。真ん中の日は中日。「ちゅうにち」と呼び、なかびとは呼びません。春分の日(3月21日ころ)や秋分の日(9月23日ころ)であり、太陽が真東から出て真西へ沈む日です。日本において春分の日と秋分の日は法律により祝日です。
彼岸最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸の明け」と呼びます。一般的には、中日を“ご先祖様に感謝する日”とし、残る6日は、悟りの境地に達するために必要な6つの修行を1日に1つずつ修める日とされています。中日と前後3日ずつを合わせた7日間に行うのが、彼岸会と呼ばれる仏教行事です。教えによれば私達が住んでいるこの迷妄の世界は此岸であり、此岸から彼岸への悟りの世界へと入るためには、六波羅蜜(ろくはらみつ・6種の徳を積むための修行)を修めることが必要とされています。
六波羅蜜とは、
1.布施(ふせ・施しを行うこと)
2.持戒(じかい・戒律を守ること)
3.忍辱(苦しさに耐えること)
4.精進(しょうじん・常に仏道を修するために努力すること)
5.禅定(ぜんじょう・心を安定させること)
6.智慧(ちえ・真理を見抜く力を身に付けること)
以上6つの修行のこと。彼岸会は悟りの世界へと一歩踏み出すための法要になります。春分の日や秋分の日に行われる法要は仏教行事ながら、もっと昔からの、日本人の農耕生活に深く根付いた行事であるとも言われています。古来日本では、昼夜が等しくなり、太陽の通り道が東西平行になる春分・秋分の時期には「あの世」への扉が開くと信じられてきました。ご先祖様に会えるタイミングなのです。歴史的経緯として、彼岸会を行う仏教の考え方と日本古来の民間習俗である太陽信仰や祖霊信仰が結びつき、彼岸の時期に祖先供養を行うことが日本において定着したといわれています。日本独自のもので、インドや中国の仏教において彼岸関連の行事は催されません。
祖先の供養と共に、春の彼岸は春を迎える喜びに感謝し、秋の彼岸は豊穣に感謝する節目の時期であったようです。
室蘭において、彼岸のお参りはどのようにするのでしょうか?
室蘭において彼岸には、お仏壇やお墓をきれいに掃除して、お花・菓子・果物などをお供えしてお参りします。ご先祖さまや亡くなった親族の仏前や墓前で日々の感謝や近況の報告をすることが供養につながります。
時間帯は早朝から日中にかけて行い、日没後は避けます。自動車の混雑が予想されるため、早めの来園がよいでしょう。山の中の自然豊かなところにある墓地も多いので、野生動物の動き出す夜間は非常に危険です。どうぞご注意ください。
よく供えられるのが「ぼたもち」(春)や「おはぎ」(秋)。炊いた米を軽くついて手のひらに収まる程度にまとめ、小豆から作った餡で分厚く包んだ甘い菓子のことです。春と秋で名称は異なりますが同じものです。彼岸の頃に花が咲く植物である牡丹(春)と萩(秋)に由来します。自身で作る人もいれば、店頭で売られるものを購入される人もいます。どのように作らなくてはならないという決まりはありません。
多くの墓地では、周辺にすむ野鳥やスズメバチ、野生の獣などがお墓の周りを荒らさないように、供物を持ち帰ることが強く推奨されています。熊の出没が見られる場合は一時的に閉鎖されることがあります。
ゴミ箱は設置されていませんので、廃棄物は必ず持ち帰るようにしましょう。
春の彼岸の時期は積雪がかなり残っている地域もあります。霊園内の車道の除雪はなされていても、基本的にお墓の周りの除雪は行われないので注意が必要です。自家用車で向かうことが可能であれば、事前に現地で積雪状況を確認するようおすすめします。お参りするために長靴やスコップが必要になる場合もあるでしょう。園内の水道設備は4月まで凍結防止のため閉鎖されていますので、水は持参する必要があります。トイレも使えません。自己責任となりますので、場合によってはお参りを延期したり中止したりすることも視野に入れて、安全優先でお願いいたします。
納骨先がお寺の納骨堂の場合には、まずは本堂のご本尊様にお参りをしてから、納骨壇にお参りをするようおすすめします。基本的には寺院の案内に従うようにしましょう。
室蘭において、葬儀後四十九日までの間に彼岸がある場合はどのようにしたらよいでしょうか?
近しい方を亡くされ、仏教にてご葬儀を営み、四十九日法要を迎えるまでの間は、ご自宅などに後祭壇(中陰壇)を設けて供養することが室蘭では一般的です。四十九日までの間に彼岸を挟む場合は、後祭壇でのお参りをしたうえでお仏壇やお墓、納骨堂などへのお参りをします。お参りを控える必要はありませんからご安心ください。
葬儀の日程と彼岸が重なる場合には、葬儀を優先するのが一般的です。葬儀を終えて初七日まで間がないといった時期に彼岸を迎える場合については、ご家族、ご親族とも意見交換して、皆さんが納得できる手段を取るとよいでしょう。
ご不明なことがございましたら、私どもめもりあるグループではご質問を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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