室蘭市における御霊前と御仏前の違いとは｜室蘭の葬儀・家族葬ならめもりあるグループ

香典袋の表書きには「御霊前」や「御仏前」と記します　

室蘭市では葬儀に参列する際、香典を包んで持参するのが一般的です。香典とは、お香や線香の代わりに供える金品のこと。昔、通夜や葬儀で大量に線香が必要になるといった観点から、葬儀に参列するにあたっては線香を持参していました。いつしか線香の代わりに現金を包むようになり「香典」という名が残されています。線香は仏教で用いるものですから、香典とは仏教における葬儀（仏式の葬儀）に基づいた名称です。

香典は香典袋に包みます。包む袋には表書きをします。内容を示すタイトルにあたる部分を仏教では「御霊前」や「御仏前」などと書き、下に自分自身の名前を記すのが一般的です。本記事では主に仏教の場合における香典袋の書き方について記します。

「御霊前」と「御仏前」の書き分けは宗派によって違うの？　

浄土真宗を除く禅宗や真言宗、日蓮宗などの仏教の宗派では、葬儀の後の初七日から7日ごとに7回、成仏に向けてのお裁きをいただくとされています。遺族は故人が成仏するようにとの願いをこめて、7日ごとの追善法要を営みます。葬儀から六・七日（四十二日）までの「四十九日よりも前」であれば亡くなった方が霊（霊魂）として在ると考えているので「御霊前」と書いて大丈夫です。四十九日法要をもって霊から仏に成る、とされているので四十九日法要以降、香典の表書きは「御仏前」とします。仏様の前にお供えする香典という意味です。

浄土真宗の場合は他の宗派と異なる考え方をします。端的に申しますと、亡くなった方はすぐに阿弥陀様のもとに往かれて、仏様として生まれ変わるという教えです。亡くなった時点ですでに仏様に成っていらっしゃいます。したがって、通夜・葬儀の時点で宗派が浄土真宗だと把握できている場合は一貫して「御仏前」の表書きです。

参列する人の立場としては葬儀がどの宗派によって営まれるか、前もってわからないことが多くあります。新聞のおくやみ記事に記載されている情報では宗派についてはっきり分からないことがほとんどで、斎場に行くまで確認できないからです。したがって一般的な香典袋の書き方であれば失礼はないという考え方になります。参列するまで宗派がわからない場合は、「御霊前」の表書きで差し支えありません。「御香典」や「御香料」と書いても問題ありません。お香や線香を供えるかわりに金品をお供えいたしますよ、という意味です。

喪家の親族であるなどして、より詳しく葬儀の情報に接することが出来ている場合、あらかじめ檀家寺の宗派がわかるのであれば、宗派ごとの作法をふまえた香典袋の書き方をすべきです。

宗派によって異なる、香典袋の表書きをまとめます。

[通夜・葬儀・初七日～六・七日まで]

浄土真宗以外　…　御霊前　

※初七日以降「御仏前」を勧める地域もあります

浄土真宗　　　…　御仏前

[四十九日・百か日・初盆・一周忌以降]

すべての宗派　…　御仏前

「香典」の「典」や「御仏前」の「仏」は、実は略字です。正しくは「香奠」「御佛前」と書きます。漢字が略字であってもさほど問題視はされませんが、なるべく正しい漢字を使うようにしましょう。

香典袋はどのようなものを用意するの？

水引という帯ひもを結び、両端を上部に伸ばした装飾（結び切りやあわじ結び）のある封筒を用意します。帯ひもの色は白黒です。香典袋は不祝儀袋とも呼ばれ、文房具店などで市販されています。封筒に印刷されたものが一般的です。白無地の袋でも受け取ってはもらえますが、仏教の場合はなるべく水引のある袋を用いたほうがよいでしょう。

親族や親交の深かった方などである程度のまとまった金額を収める場合は、実物の帯ひもで形作られた装飾付きの封筒を使用します。封筒に蓮の花が印刷されているものを使用しても問題ありません。十字架や百合の花がある場合はキリスト教向けの封筒なので使いません。熨斗（のし）が封筒の右上にあるものは祝儀用ですので決して使わないようにしましょう。

封筒の上部に「御霊前」「御仏前」などの表書きを記し、帯の下側に名前を書きます。名前はフルネームで、表書きよりも少し小さめに書きます。薄墨の筆を使うのがマナーです。知らせを聞いて悲しみの中で取り急ぎ用意したので、墨をする時間が十分取れなかったために薄墨になったという意味合いがあります。

仏教以外の香典袋の表書きとは？

室蘭市における神道での葬儀（神式）の場合、白無地の袋に「御玉串料」や「御榊料」、「御神饌料」、「御神前」などと記します。蓮の花の絵柄が入った袋は仏教向けですので使用しないようにしましょう。神式か仏式かはっきりとわからない場合、「御霊前」と書くと双方に使えますので安心です。神式ではお香を用いないので「御香典」とは書かないようにしましょう。

室蘭ではある程度まとまった金額を包む場合、白無地の封筒ではなく白黒もしくは白一色（双白）の結び切り水引を使うことがあります。袋の使い分けに関する金額の厳密な線引きはありませんので、周囲のかたに確認できるようであれば訊いてみましょう。

キリスト教での葬儀（キリスト教式）で「香典」の語は使用しません。「御ミサ料」（カトリック）、「御花料」や「献花料」（カトリック・プロテスタントともに使用可）と書きます。ミサとは礼拝の意味で、カトリックのみで用いられる言葉です。

袋については水引の付いた封筒は使わず、白無地の封筒を使います。十字架や百合の花がデザインされている封筒も使用可能。百合の花は聖母マリアを象徴する花といわれるものです。プロテスタントには聖母マリア信仰がないながらも、百合の花が封筒にあること自体には問題ありません。蓮の花がデザインされている封筒は仏式向けなので使いません。

封筒の上部に「御花料」などの表書きを記し、帯の下側に名前をフルネームで、表書きよりも少し小さめに書きます。日本国内の葬儀の場合は、香典袋の表書きは薄墨という社会通念があるため薄墨で記すのが妥当です。

カトリックでは「御霊前」と書いても差し支えありません。プロテスタントでは祈りを捧げるにあたり形のある対象物はないという考え方があるため、「御霊前」とは書かないようにします。

室蘭市における香典の適正金額とは

室蘭市の葬儀において、香典袋に包む金額はどのようにしたらよいでしょうか？　地域差もあり一義的に決まるものではないながらも、以下のような金額が目安となるようです。一般葬と家族葬で金額に違いはありません。

職場の同僚や友人　3,000～5,000円

職場の上役　10,000円～　

親族（祖父母やおじ、おばなど）　10,000円～

兄弟姉妹　30,000円～

親　50,000～100,000円

　　

目安となる金額を記しました。厳密な決まりはなく付き合いの深さなどで変わってきますから、一概にルール化できないものです。職場などで、同じような立場のかたが複数いて香典の金額を検討する場合は、周りの方と相談しあって突出したり少なすぎたりしないようにしましょう。

香典袋は金額によって、異なるつくりの袋を使います。室蘭では、1万円程度くらいまでは水引を印刷した封筒に入れる人が多いようです。3万～5万円あたりを境に、水引に実物の帯ひもが使われる袋を使います。

中袋にお金を入れ、上包みと呼ばれる外側の袋で包み、裏を折り返す時には下側の折り上げ部分を下に、上側の折り下げ部分を上にします。開口部が下向きになるイメージです。「悲しみを洗い流す」意味があるとも言われています。

上包みに名前や金額、名前など書くのは当然ながら、中袋にも書いておくべきです。万が一、受付で上包みと中袋が別々になってしまった場合、誰からの香典か分からなくなる可能性があるからです。

新札は避けます。「予期して用意していた」わけではないからです。新札を使う場合には一度折り目を付けておきます。使用済みのお札がふさわしいとは言え、あまりにもボロボロになっているお札は避けます。

お札を入れる向きに明確なルールはないながらも、封筒を裏にしてお札を出した時に人物の肖像が描かれている表の面が見えるようにして、肖像を下側に入れるのがよいようです。少なくとも、札の向きは揃えましょう。

封筒の裏面に金額を薄墨で縦書きするのがマナーとされています。間違いを防止するために、大字（おおじ）という「壱」「弐」「参」といった漢字を使用するのが通例。「金壱萬圓」（1万円のこと）などのようにします。封筒に横書きできるようにあらかじめ印刷されているものもあり、算用数字で横書きされている例も散見されます。なるべく大字で記入するのがよいでしょう。

お札の枚数は「4」（「死」に通ずる）枚や「9」（「苦」に通ずる）枚を避けるようにします。