葬儀の基礎知識
忌引休暇 土日と重なったとき(土日のお葬式は忌引き扱いになる?)

家族や近しい親族が亡くなった場合、葬儀の主催、もしくは葬儀に参列しなければいけないため、学校や企業に勤めている方は、休暇を取得するケースが多いでしょう。
ところが、もし不幸があったタイミングが土曜日・日曜日・祝日などの公休と被っていた場合は、どのように忌引き休暇届を申請すればよいのか、あるいは忌引き休暇明けの仕事再開のタイミングが分からないという方もいるはずです。
そこで今回の記事では、公休である土日祝と忌引き休暇が重なった場合の対応方法や注意点について説明します。
目次
「忌引き」とは?

「忌引き」とは、身内が亡くなった際に学校もしくは仕事を休み、「忌中(四十九日法要を迎えるまでの期間)」に入ることを指します。かつて日本では、身内が亡くなるとその死を悼み喪に服すため、一定期間の外出自粛を行う慣習がありました。そのため、現在でも多くの学校や企業で忌引き休暇の制度が設けられています。
現在は「忌引き休暇」という言葉が広く使われていますが、実は「忌引き」という言葉自体に「身内の不幸によって休暇を取得する」という意味が含まれています。なお、企業によっては「忌引き休暇」という名称ではなく、喪に服す意味の「服喪休暇」となっている場合や、「慶弔休暇」という名称になっていることも珍しくありません。
忌引き休暇は、法律で定められた休暇ではなく、学校や企業がそれぞれ独自で設定している制度であるため、取得可能な日数は学校や企業ごとで違います。忌引き休暇を取得する際は、所属している学校や企業で定められた規則に則って、適切に取得することが大切です。
忌引き休暇の日数
前述の通り、忌引き休暇の日数や数え方は、学校や企業によって異なります。ここでは、忌引き休暇で取得できる日数の目安をご紹介します。
忌引き休暇の日数
忌引き休暇が認められるのは3親等までが一般的で、取得可能な日数は故人との関係性によって決まります。3親等までの親族は、以下の続柄の方が該当します。なお、同じ父母でも、実父・実母と義理の父母では日数が変わるので注意が必要です。
【本人から見て】
- 配偶者(1親等):10日間
- 実父母(1親等):5〜7日間
- 子ども(1親等):5〜7日間
- 祖父母(1親等):2〜3日間
- 兄弟姉妹(2親等):2〜3日間
- 孫(2親等):1日間
- 配偶者の父母(2親等):2~3日間
- 配偶者の祖父母、兄弟姉妹(2親等):1~2日間
- 曾祖父母・甥・姪・叔父/伯父・叔母/伯母(3親等):0日〜1日間
なお、こちらは一般的な例であるため、実際の日数と異なる場合があります。学校は校則、会社は就業規則を確認しましょう。
忌引き休暇の数え方
忌引き休暇の数え方についても学校や企業によって異なりますが、多くの場合は「故人が亡くなった当日を1日目とする」もしくは「故人が亡くなった翌日を1日目とする」のどちらかの数え方が採用されています。
ただし、逝去後すぐにお通夜を行わない場合もあるため、お通夜の日から忌引き休暇の取得を認める企業もあります。なお、3親等の親族の場合は忌引き休暇を認めていないケースもあるため、いずれにしても確認が必要です。
忌引き休暇・公休・有休との違い
忌引き休暇は、公休や有休(年次有給休暇)とはまったく別の休暇です。
公休とは、学校や企業が定めた休暇のことで、主に土曜日や日曜日、祝日を公休とするのが一般的となっています。有休とは、従業員の権利として取得できる休暇のことで、取得の条件や付与日数は労働基準法で定められています。企業は該当する従業員がいる場合、有休を付与しなければいけません。公休は無給ですが、有休は休んだ日の分も給料が発生します。
忌引き休暇は、有休のように法律で定められた休暇ではなく、企業が独自に設定する休暇制度です。そのため、忌引き休暇中の給料についても企業ごとに定められています。
忌引き休暇が土日祝と重なった場合
忌引き休暇が土日祝などの公休と重なった場合は、公休も忌引き休暇に含まれるのが一般的です。
例えば、3日間の忌引き休暇が通夜の日からスタートする場合、通夜の日が金曜日であれば「金・土・日」が休みとなり、月曜日からは通常出勤となります。ただし、上記は法律で定められているものではありません。特別な事情等により忌引き休暇にプラスして休暇を申請したい場合は学校や職場に相談してみてください。
忌引き休暇取得の注意点
忌引き休暇は、急に休まなければいけなくなるケースがほとんどで、故人との続き柄によっては、1週間以上の休暇が必要になる場合もあります。そのため、忌引き休暇の間に学業や仕事に差しさわりがないよう、以下の注意点について理解しておきましょう。
就業規則を確認する
忌引き休暇で取得できる日数や取得の方法はそれぞれの学校や企業で定められており、学校であれば生徒手帳、企業であれば就業規則に記載されていることが一般的です。忌引き休暇を取得しなければいけなくなった場合に備え、あらかじめ取得可能な日数や取得する方法などを確認しておくとよいでしょう。
必要書類を事前に確認する
忌引き休暇を取得する場合、「忌引き証明書」の提出が必要なケースがあります。忌引き証明書は忌引き休暇明けに提出するものですが、忌引き証明書は正式な公的書類ではありません。
忌引き証明書は「死亡診断書」、「埋葬許可証・火葬許可証」、「葬儀証明書」、「会葬礼状」などが該当します。忌引き休暇に入る前に必要となる書類を確認しておき、休暇明けには提出できるよう準備しておきましょう。
忌引きがわかったら速やかに連絡をする
忌引き休暇を取得しなければいけないとわかったら、なるべく早めに学校や会社に連絡をしましょう。会社勤めをしている方は、忌引き休暇中のご自身の業務を他の方に引き継がなければいけません。また、関係各所への連絡が必要な場合もあるでしょう。
学校内や会社内にいるときに訃報が届いた場合は、すぐに担任の先生や上司に口頭で伝えます。外出している場合は電話連絡でも問題ありませんが、電話が難しいときにはメールやショートメールなどを利用して連絡をします。
ただし、メールやショートメールで送ったものはすぐに確認してもらえないこともあるため、電話ができる状況になったらすぐに再度連絡をしておくとよいでしょう。
忌引き休暇を使わずに済んだ場合にも連絡は必要
なかには土日に不幸があり、学校や会社を休まずに済むケースもあることでしょう。故人との続柄によっては葬儀の準備等に関わらないこともあるため、土日にお通夜や葬儀に参列し、次の日から通常通りということもあり得ます。このとき職場に伝えるかどうかはご自身の判断によりますが、企業によっては土日祝を含まずに忌引き休暇が取得できるケースもあるので、これを利用したい場合は連絡を入れましょう。
また、上司も葬儀に参列したり弔電や供花を送ったりすることが考えられるため、たとえ忌引き休暇の申請が必要なかったとしても、上司には一報を入れておくのがマナーです。
お互いの関係性や相手の性格によっても異なりますが、後から知らされることを不快に感じる上司や同僚の方もいるかもしれません。どうすればいいか迷った際には、同様の経験を持つ方に相談するのが賢明でしょう。

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