Chapter.2愛するひとを送るあなたに
お伝えしたいこと。

想活 Chapter.2

どうか、強くなってください。 あなたの愛する人にとって、一番信頼できる人、 心に平安をもたらしてくれる人であるために。 あなたが、少しでも明るくあることが、 その人にとって、最良の癒しとなるのです。 どこにも持って行きようのないあなた自身の気持ちが少しでも癒されるよう 専門家が示す心の過程をご紹介します。
※ただし、全ての場合がこれに当てはまる訳ではありません。全ての人をこうした5段階に無理矢理あてはめるものではありません。 このような5段階の過程をたどるのはごくまれで、1段階を飛び越したり、2段階が同時に重なって表れることもあるとの学説もあります。

余命宣告から死に至るまでの心理過程は、次の5段階に分かれます。[エリザベス・キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』よりアレンジ]

1.否認、孤立宣告のショックの後、すぐにそれを否認し、 孤立感を感じます。 これは死に直面した人にとって、 ごく自然な感情です。
2.怒りなぜ自分がこんな目に合わなければならないのか…。 こんな怒りの感情が、事実を知らない周囲、家族や医師、 ナースなど周りすべての者に向けられます。 なぜ怒っているかを理解されず、 周囲との摩擦が起こりやすい時期です。 自分が価値ある人間であり、尊敬され理解され、 時間を費やされていると感じることで、 怒りによる要求は次第に引いていきます。
3.取引き「息子の結婚式に出席できるならば何でも約束します」 「もう1回舞台で演技ができるなら何もいらない」。 たった1度だけ、というような期限を付けて、 迫り来る死や肉体的な深い痛み、 恐ろしい手術などを先延ばししようとあがきます。
4.抑うつ衰弱が進み、顔形も変わってきます。 入院が長引くことで経済的負担が重くなり、 身体が醜くなって恥ずかしいという気持ちなどから抑うつが起こります。 これらの反応は、周囲の励ましやケースワーカーによる 具体的な援助などでかなり軽くなるでしょう。 一方、看病する方にとっては愛する人を失うことに対する恐れ(防衛機制)によって、 嘆きの先取り現象が起きてうつ状態に陥ります。 この場合、励ましや力づけはあまり役に立ちません。 このような時はただ黙って傍にいてあげることが 何より大切です。
5.受容幸せそうな周囲に対する怒りを吐き出したり、 自分の感情を出し尽くすと、怒りや迎うつが消えて 現状を受け入れる気持ちが生まれてきます。 自分になされる方法がもうないとわかっても 「自分はまだ忘れられた存在ではない」と知れば慰められるものです。 衰弱し静かに死を待つ、残された日々をどう過ごすか…。 ここから愛する人との豊かな時間が始まります。
「死」に対する考え方はさまざまですが、旅立つ人と、残される人が 共に自分自身の生命を新しく考え直して生きていく心の準備ができたなら幸いです。