葬儀の基礎知識
苫小牧における後返しとは?
目次
「後返し」とは何でしょう?
北海道における「後返し」とは何でしょうか。一言で申せば、“ 後日お渡しする香典返し“ です。苫小牧を含む北海道において一般的には、多くの人が集まる「通夜」時や翌日の「葬儀・告別式」時に、いただいたお香典に対してその場で香典返しをお渡ししています。「即日返し」や「通夜返し」などとも呼ばれています。本州とは異なる独特の習慣です。本州では一般的に後返し品を弔問にいらした方全員にお渡ししています。本州からの弔問客がある場合には注意しておかないと、礼を失したように受け止められる可能性があります。
もともと本州では、香典返しは即日渡しではありません。一連の葬儀を経て四十九日法要に至るまでの間に、喪家へ香典をくださった方々に対して、『無事に四十九日法要までを終えました、ありがとうございました』という主旨の挨拶状に添えて送るものでした。今もその習慣は残っており、四十九日を忌明けとして送ります。北海道民から見れば本州の香典返し品は後返し品そのものです。
仏教以外の宗派については、神式の場合には五十日祭をめどに送るようです。キリスト教では、カトリックは一ヶ月目のミサを終えてから発送します。プロテスタントは三十日目の召天記念式以降となるようです。
本州の葬儀においては、会場内に親族が参列しお寺様の読経が行われる中、訪れた一般会葬者は会場内には入りません。外に設けられた受付で香典を渡し、記帳して、通夜ぶるまいの食事を少し口にして辞去する、という流れが一般的です。
「後返し」はどのような方々に贈るものでしょうか
北海道では葬儀の儀式に一般の弔問客も参列して行われるのが通例です。通夜に最も多く人が集まります。参列する方々の仕事が終わった後に集まりやすいからです。通夜や葬儀・告別式に参列された一般の方は四十九日法要に参列しないことが多く、ほとんど親族のみが法要に参列します。通夜や葬儀・告別式に来場された一般参列者が持参する香典に対し、その場で返礼品(香典返し)を渡します。開拓以来、合理性を優先する傾向にある北海道民の間で定着しました。苫小牧においても同様です。
苫小牧において後返しはどのような方々に贈るとよいのでしょうか。その対象は「思いやりや計らい(ご芳情)をいただいたすべての方々」。目安は香典の金額です。単純に高額な香典を寄せてくださった方のみを対象とするのではなく、以下のように考えるとよいでしょう。
1.高額(数万円以上)の香典をくださった方
2.香典に加えて供花や供物をいただいた方
3.当日の参列ができず、現金書留で香典を郵送してくださった方
4.上記の3に加えて供花や供物をいただいた方
5.遠方からわざわざ参列してくださった方
6.生前(病気療養中など)にお見舞いをいただくなど、お気持ちを寄せてくださった方
昨今は家族葬が増えて、参列者が親族中心となる葬儀も多くなってきております。その分、香典の金額も大きくなっていることが考えられます。親族間といっても後返しが不要とは限りませんので、しっかりと検討していきましょう。
葬儀後の各種手続き関係が一段落したら、香典や供物の記録を確認しましょう。後返しの対象となる方々の情報の書き出しをお勧めします。お名前やご住所、電話番号や故人との関係、香典の金額、後返しの金額や後返し品の候補などをリストとして紙にまとめておくと便利でしょう。香典袋に記されていない場合に情報のないままだと、運送会社が届けてくれない場合もありますのでご注意ください。
後返しの品を検討する際、基本的にはいただいたそれぞれの香典の金額に対して、個別に半分から3分の1程度の品物を用意します。香典金額に応じた金額の後返し品を選びましょう。本州では香典をいただいた方全員に、香典の半額を目安に後返しをしています。「半返し」といいます。
贈る時期とは
苫小牧においては、四十九日法要を終えた後に後返しをなさる方が多いです。四十九日までの間にご自宅へお越しになった弔問の方からいただいたり郵送される香典も網羅できます。時間に余裕があるので全体的にじっくりと検討して進められるでしょう。
北海道では葬儀後、火葬場から戻った後「還骨法要」と「繰り上げ法要」がすぐに行われます。忌中引法要ともいい、その中に四十九日法要の繰り上げも含まれることから、葬儀終了まもない時期に準備が整い次第、後返しをなさる方もいらっしゃいます。
宅配便を使って届けることが一般的です。喪主が直接届ける場合もあります。
挨拶状とは
苫小牧における後返しには挨拶状を添えます。袋の表書きは「志」が一般的です。「○○家」と水引の下に書きます。
挨拶状の文面には、一般的な定形があります。私どもめもりあるグループには豊富に文例がございますのでお気軽にご相談ください。御礼の気持ちを表す文章の中に、故人の戒名や喪主名などもお入れします。
後返しの品物はどのように選ばれるのでしょうか
苫小牧においては、実用性を重視した品物が選ばれています。日持ちのする食品に人気があります。アイスクリームなどについては、冷凍技術が発展してきているとはいえ、避けた方が無難でしょう。温度が上がったら溶けて品質が保たれないようなものよりも常温で保管可能な品をお勧めします。
ある程度以上の金額になる場合は、金額に応じたカタログギフトを選ばれる方もいらっしゃいます。カタログギフトとは、もらった側が品物を選べるカタログのことです。同一価格帯のものを収めているので、カタログの中から自由に好きなものを選んでいただける点にメリットがあります。香典金額ごとに贈り分けをする時に便利です。
もらった側が欲しいものを所定の方法でリクエストする必要があり、手間をかけさせてしまうデメリットはあります。
香典が「○○会一同」のように複数人の連名であった場合。それぞれの個人宛に後返しを贈るのではなく、ひとつにまとめて「○○会」宛てに贈るのがよいでしょう。この時、連名者間で分配できるよう、あらかじめ内容物がいくつかに小分けされている品をお勧めします。
苫小牧において忌中引の引き物と後返しは同じでしょうか?
後返しと忌中引の引き物は異なります。
北海道で火葬後に行われる「繰り上げ法要」(忌中引法要)後に親族の家族ごとに渡すものが「引き物」です。従来、会食膳を用意してお斎(とき)の膳として故人を偲ぶ場としていました。折詰を渡すことも含め、苫小牧においてはほとんど行われなくなりました。繰り上げ法要の終了とともに引き物を渡して解散するのが一般的です。
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